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2020年12月23日ニュース

「アドバイザーのつぶやき」第21回『会社は誰のもの?#5.時間とコストを掛けて解決する』を投稿しました。

★アドバイザーのつぶやき 第21回 20/12/23★

会社は誰のもの?
#5.時間とコストを掛けて解決する

最後に、実際に私が遭遇したケースで、現在の株主が正しい株主であり、いままでの株主総会の手続きを事後的に有効であることを確定するために、買い手から要求された方法をお示ししたいと思います。
まず、相続などで株主となった人から過去に売買を行った譲渡人、譲受人へ「譲渡が行われた事」の確認書への押印を依頼しました。譲渡人は既にお亡くなりになっているので、実際には譲受人のお二人の実印と当主の添書きです。弁護士が作った依頼文がしゃれているのでご紹介します。

「●●株式会社の株主である●は、当会社の株主である【可能性のある貴殿に対し】…(以下略」」

あくまでも株主扱いはしていません。ここで重要なのは、旧商法の株券発行会社であった時代から株券発行が不要である相続によって株主となった人がいたことです。またこの依頼文を会社、即ち社長を含む取締役が発行することはできませんでした。なぜなら、M&Aの買主側が、買う会社の株主が確定しないと推定している中では、役員選任の株主総会自体が無効であるかもしれないからです。さらに、確認書の依頼者はこの買い手に対して、現在の株主名簿が正しいことを会社と共に表明保証させられています。

次いで、株券不発行の定款変更の株主総会決議を、現在の株主によって追認させる臨時株主総会を開催しました。つまり、以前の株主総会決議は「株主である可能性のある貴殿」によってなされたので、実効性があるか分からない。よって、改めて決議するという趣旨です。その後、現在の取締役を追認する二回目の臨時株主総会を開催しました。
結論を言ってしまえば、以上の手順なのですが、この方法にたどり着くまで、倉庫での書類探しから数えれば4か月余りの時間と多大な労力、それに多額の弁護士費用を払うことになってしまいました。

ファミリー企業には、他の会社にはない良いところがたくさんあります。
・意思決定が速い
・無駄なルールや縛りが少ない
・コンプライアンスのためのコンプライアンスなど本末転倒なことが排除されること等
これらは顔見知りのファミリーが結束して事業にあたっているからこそ実現できているものと思います。一方で、顔見知りの身内だからと言って軽視してきたものもあるのではないでしょうか。事業承継は考えているが、M&Aや会社の売却は考えていないし、それはそうなってから考えれば解決策は出てくるものだ、というのも事実だと思います。今回のケースでは問題の解決に4か月かかりましたが、買い手はその間待ってくれていました。M&Aはタイミングも重要ですから、待ってくれるケースばかりではないかもしれません。

こういった潜在的な問題に対して、その都度助言してくれる役回りの人がファミリー内にいることが重要だと思います。知らずに無視、軽視するのではなく、知った上でベネフィットとコストのバランスを取って、やる、やらない、今はやらない、などの選択をしていくのが良いと私は思います。
専門的で複雑な事例でしたが、最後までお読み頂きありがとうございました。(by smile)

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