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2020年4月17日ニュース

ファミリービジネス関連の書籍を紹介する「J.P.通信」でEps.12 山口 絵里子著『Third way サードウェイ 第3の道のつくり方』を投稿しました。

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まだまだ新型コロナウイルスによるこの息苦しい雰囲気は続きそうです。緊急事態宣言が出て早1週間が過ぎ、とうとう全都道府県が対象になりました。そんな中、SNSなどを通じて、個人や企業が自分たちに出来ることを次々に実行に移しています。これから、また新たなビジネスの可能性や活躍のチャンスも出てくるでしょう。今自分に出来ることは何なのか、悔いのないように今の貴重な時間を過ごしたいものです。

 

今回ご紹介するのは、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という独自のブランド発信で注目されている企業、株式会社マザーハウスに関する著書です。代表取締役兼チーフデザイナーで、著者でもある山口絵理子さんが、今のマザーハウスに至るまでの13年間という日々と、その経験から得た経営理念をまとめたものになっています。

タイトルにもある「サードウェイ」は、まさに彼女のこれまでの人生の集大成とも言える言葉です。「両者のいいところを組み合わせて、新しいものをつくる」と定義するサードウェイを模索する中で、彼女が経験した世界の実状とそこからくる葛藤。彼女と同様、私たちの誰しもが二項対立の中で、必死に答えを出そうとしているのではないでしょうか。混沌とした今の世の中で、私たちに1つの問題解決のヒントを与えてくれる1冊になると感じています。是非、ご一読下さい。

 

J.P.

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「Third way サードウェイ  第3の道のつくり方」

山口 絵里子 著

 

「社会性とビジネスの両立」。著者である山口氏が、自身の13年間の「挑戦」の連続の中で、肌身離さず抱えてきたテーマだと語るものだ。

大学卒業後、アメリカ・ワシントンの国際機関で働いていた山口氏は、スタッフが現地の実状を全く把握しておらず、机上の空論で物事を進めていることに驚き、当時最貧困国だったバングラデシュに単身で渡った。山口氏曰く、当時の記憶は「におい」と共に今でもはっきりと覚えているという。本人にとって初めてのスラム体験だった。その後勢いで現地の大学院に入学し、彼女のサードウェイ模索の日々が始まることになった。

山口氏が起業したマザーハウスというネーミングには、「帰れる場所になる」という意味を込めたかったという当時の想いがある。それは数年後に建つコミュニティ型の新工場、通称「第2の家」という新たな「モノ」として、今まさに体現されようとしている。日本人建築家たちによって、多くの人々の意見を取り入れ設計されたこの工場には、「家族みたいな会社」を作りたいという山口氏とスタッフたちの想いが詰まっている。

自身も「恋をした」と表現するほどに惚れ込んだ現地の素晴らしい素材から作られるバッグやストール、アクセサリー。自分たちが作り出すモノの価値を、山口氏はこう指摘する。

「モノの説得力には、どんな美辞麗句も勝てない。モノは嘘をつかない。モノに対し、こっちがごまかすことも難しい。どんなに粗雑で荒削りであっても、そこにあり続けてくれる。いつでも向き合える対象としてそこにある。それがどんなに心強いことか。」自身の「デザイナー」という立場を非常に重要視している、実に説得力のある言葉だ。その感覚は、彼女の中の経営者とデザイナーという二項対立においても、ある種の答えを導き出している。

著書の中で山口氏は、「経営とは、企業やブランドを1つの有機体としてとらえ、それを構成するすべての要素が美しく調和がとれるようにする行為」と語っている。彼女は人間の持つ感覚を大切にしている。モノづくりによる彼女の挑戦の日々には多くの困難があり、世界を取り巻く実状という現実があり、常に試行錯誤の連続だった。それでも、二項対立の関係にある両者をかけ算して初めて、らせん階段のように一歩一歩成長できると信じて彼女は挑戦を続けた。当時の実状への「気持ち悪さ」や、「ストレス」や「違和感」があれば絶対に無視しない。「何故そう思うのか」を考える。常に自分たちのやっていることの意味、組織としての存在意義を問い続け、面倒がらずに手を動かし続けた。その結果、高級ブランドが軒を連ねるスペースでも、決して安くはない自分たちの商品を手に取ってくれるお客様が増えた。職人たちの技術をツアーや実演販売で可視化することで、現地の優れた職人たちに確かなモチベーションや、いい意味でのライバル意識(向上心)を生み出すことに成功した。個人のやる気に勝るものはないとかたる山口氏の、実験大成功の瞬間だった。

 

しかし、彼女の挑戦はまだまだ止まらない。ずっと持ち続けていたプランが、今まさに実現に向けて動き出そうとしている。それは、「グローバルな舞台で互角に戦う」こと。日本はヨーロッパ諸国に比べると、数字や言葉に出来るものをどうしても重要視してしまう傾向がある。日本企業はこれから先、もっとクリエイティブに対する投資のスケールや考え方を見直すべきだと山口氏は指摘する。その先駆けとして以前から注目しているのが、パリでのプレゼンテーションだ。

誰もが認めるファッション最先端の発信地。このマジョリティ(多数派)に対し、途上国での現地生産にこだわり続けた自分たちのマイノリティ(少数派)が本当の意味で通用するのか。一見無謀ともとれるこの挑戦だが、彼女はこの挑戦が生まれ続けることこそが「ワクワク」「ドキドキ」「夢中」の大原則だと語る。そうやって、これまでも未知の国の魅力を自らの足で探し求め、そこからサードウェイを見つけ出し、未知の国同士の化学反応が起こす奇跡を体験してきた。今まさにマザーハウスの大きなビジョンへの壮大な実験が始まろうとしている。その実験の起こす奇跡の瞬間に、今後も目が離せないだろう。

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