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2020年4月4日ニュース

ファミリービジネス関連の書籍を紹介する「J.P.通信」でEps.10 更家 悠介著『これからのビジネスは「きれいごと」の実践でうまくいく-環境ブランドで日本一になったサラヤの経営-』を投稿しました。

(FBページはこちら⇒ https://www.facebook.com/JP通信-by-FEMO-782507828813683/?modal=admin_todo_tour

ご無沙汰しました、J.P.通信。
まさかこんなことになるとは・・・令和2年度はまさに激動のスタートとなりました。新型コロナウイルスによるこの殺伐とした空気はいつ収まるのか、多くの方がそれを気にかけて日々を過ごされていると思います。生活範囲もどんどん狭くなり、いつもと同じ生活が送れないことに不満を募らせている方も、私を含め少なくないと感じています。
記念すべき2ケタ投稿として、今皆様にご紹介するべき良書は何か。皮肉にも、今猛威をふるっている新型コロナウイルスからそのヒントを得る形となりました。今回この本を通して知った企業は、戦後大阪で創業し、当時深刻な問題となっていた赤痢の大流行に向き合った商品の開発・販売によって成長しました。この状況、私には今の世の中に似たものがあると感じました。そして本を読み進めるうちに、やはりそうだと確信しました。
伝染病やウイルスの恐怖は、いつの時代にも私たちのすぐ側にあったのです。にも関わらず、新型ウイルスによる感染拡大がひと度起これば、私たちがとれる処置は依然対処療法です。残念ながらこればかりはどうしようもありません。大切なのは、私たち一人一人がその局面に立たされた時、周囲の声に必要以上に惑わされることなく、いかに心のバランスを保てるかではないかと思うのです。この企業の成功の秘訣には、今を生きる私たちに大きなヒントを与えてくれると感じています。
改めて、今回ご紹介するのは、環境問題に対する取り組みで名だたる上場企業を抑え、世界的評価を得ている非上場企業「サラヤ」さんです。「ヤシの実洗剤の会社」といえば、分かる方も多いのではないでしょうか。昨今の新型コロナウイルス騒ぎで、アルコール消毒液もとても目につくようになりました。
東日本大震災から早9年、益々人事ではない環境問題ですが、個人ではなく会社という組織の活動として取り組むことは、やはり容易なことではありません。しかしながら、近年こういった活動への意識の高さが、高く評価される時代になっているのも事実です。そのバランスをどうやって取りながら会社の永続性に繋げていくのか。この本からは、そんな悩みをチャンスに変えてくれる言霊を感じています。
皆様の心にも、何かしら届くものがあると思いつつ、10回目の投稿とさせていただきます。
J.P.
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Chpt.10 『これからのビジネスは「きれいごと」の実践でうまくいく
-環境ブランドで日本一になったサラヤの経営-』
更家 悠介 著
「先代の遺してくれた企業を、その理念を含めてしっかりと引き継ぎ、出来る限り発展させること」。自身の使命をそう語るのが、2代目社長、更家悠介氏だ。
悠介氏はサラヤの経営を、しばしば「清流」に例える。それは創業者である父、更家章太氏が自身の人生の中で身につけていた自然な感覚を大切にする、ということだ。先代は三重県・熊野川の美しい清流の近くで育ち、清らかな水の流れがあることで成り立つ人間としての営みを感覚的に理解していた。その先代の教えを通し、現社長も自然の流れに逆らわない経営を目指している。仕事をする中で、サラヤとして自分たちが何か出来ることがあると分かった時、悠介氏はワクワクし、「おもしろい」という人として素直な感情を抱くという。「自然な気持ちが働いたところでこそ、ビジネスも活きてくる」。彼のビジネスに対する自然体なスタイルに、今や多くのビジネスマンたちが注目している。
タイトルにもある「きれいごと」。悠介氏はこの言葉を、「企業理念をごく自然に実行したもの」と捉えている。その上で、これからの時代企業が生き残るためには、長期的な視野に立つ態度が不可欠だという。利益優先ではなく、「環境・自然に配慮した商品を出す企業」という自分たち企業の存在意義を社会貢献という形で示し、認めてもらうことだと。その行動の1つとして今行われているのが、ウガンダでサラヤが進めている「100万人の手洗いプロジェクト」だ。まだ衛生面が徹底されていない途上国で、人々の暮らしに手洗いという意識を持ってもらおうというこの画期的な取り組みはケーススタディとしても非常に興味深い。
サラヤは先代の章太氏が開発した「シャボネット」以来、環境に考慮した商品開発と、環境問題に対する企業としての誠実な対応と社会活動が評価され現在に至るが、ここまで評価されるに至るまでには、親子二代にわたっての「人間と自然」の共存という大きなテーマとの悪戦苦闘の日々があった。
悠介氏がアメリカ留学を終えて帰国した時、日本は第一次オイルショックの影響により不景気の真っ只中にいた。そんな中、自社工場で起きた事故により商品の原料となる油が近隣の川に漏れ、責任者が辞職。さらには会社を存続するためにGMP(適正製造基準、医薬品製造管理および品質管理基準)に準拠した工場リフォームのための資金繰りなど、その道は決して平坦なものではなかった。企業による環境汚染問題が世界的な規模で注目される中、「人間をとるか、自然をとるか」とでも言わんばかりの選択を迫られる日々だった。そんな中でも、「清流」のごときその企業理念と経営姿勢を「よし」とする人々を着実に増やしながら、多くの人々の期待と信頼を背負って、サラヤの「環境保全」への挑戦は続く。
それはただ単に環境を守る「環境保護」とは違う。二者択一ではなく、人間の生存つまりは暮らしの維持を図りつつ、いかに自然に負担をかけない方法を発展的に考え、自然と共存していくか。それを考えてこそ、現代のビジネスとして成立すると悠介氏は信じている。
人間を優先しなければいけないという前提にある企業。その企業が自分たちの存在意義を懸けて行う「きれいごと」が、これから先の企業の寿命を決めることになるとすれば、今こそ自分の中にある自然な気持ちに正直になってみてもいいのではないだろうか。それが世の中に認められ、生き残れるのなら、これほど「おもしろい」ことはないのだから。

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