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2019年11月5日ニュース
ファミリービジネス関連の書籍を紹介する「J.P.通信」でEps.9 伊丹 敬之著『難題が飛び込む男 土光敏夫』を投稿しました。
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大分間が空いてしまいましたが、また再開します。J.P.通信。
令和元年もあと2か月足らず。来年もよい年に出来るよう、ここが踏ん張りどころだと思う今日この頃です。
気付けば今回で9回目の投稿となりました。「継続こそ力なり」とはよく言ったものです。私の投稿回数は、世間様から見れば「継続」などという表現を使うこと自体おこがましいものですが、2ケタ回数になる前の投稿は、やはりどこか厳かな気持ちになります。続けたこと、費やした時間と労力の意味を、数字を通して感じることが出来るからです。
そんな今回の題材となる偉人は、そんな数字という現実と戦い続けた男、土光敏夫さんに関する著作になります。
ビジネスマン、特に昭和の高度成長期の真っただ中にいた方であれば必ず知っているであろう、別名「メザシの土光さん」。敗戦のどん底から、日本の再繁栄期を築き上げるにあたり、土光さんの日本経済界における活躍は他に類を見ないものでした。その崇高な魂に、きっと読者の皆様を元気づける何かがあると願い、最後の1ケタ投稿とさせていただきます。
J.P.
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Chpt.9 『難題が飛び込む男 土光敏夫』 伊丹敬之 著
「ぱっとしない感のある日本」。
作中、土光氏亡き後の今の日本を筆者はこう表現する。今を生きる私たちには、何とも耳の痛い話だ。ただ、本作の題材である土光敏夫という人物の成し遂げたこと、そして次世代に懸けた本人の想いを鑑みれば、理解できる部分があると認めざるを得ない。
土光氏は、自身の成し遂げた最後の大仕事ともいえる行政改革の最終答申の後、マスコミの取材に対し、国民にこう懇願した。
「政府への依存心を捨てて、自主自立の精神で、行革を理解し、協力してもらいたい」と。
近年、日本国内で「改革」と名付けられるものの生ぬるさに対し、再建・再構築の哲学と個人的リーダーシップのあり方にこそ、そもそもの問題があると伊丹氏は指摘する。その正しい在り方の例として筆者があげたのが、土光氏である。
もともとタービン・エンジン部門の技術者だった土光氏は、自他ともに認める現場主義で、周囲からは「現場の達人」と言われていた。その経験と人柄が評価され、異例のスピード昇格を実現。以来石川島重工の案件をはじめ、東芝再建、国の行政改革と世に言う3大改革を実現し、民間人最高位勲一等旭日桐花大綬章を当時の昭和天皇から授与された。まさに「偉人」である。彼の経営者としての能力はずば抜けたものだった。
しかし、本人はこの3大改革の1つとして、自ら希望してやったものはない。全て、誰かからの頼みを聞いて受けたものだ。最後には折れてしまうのである。「土光殺すにゃ刃物は要らぬ、お国のためだと言えばいい」という言い回しまで残るほどだ。
「土光さんにホレる」、という表現で度々作中使われる、彼の人格的魅力をもって、対面で他人を感服させる能力は当時の関係者の話からもよく分かる。仕事には徹底した現場主義を重んじ、自分にも他人にも厳しく、特に責任逃れをしようとする輩には、「怒号」を飛ばしていたらしい。
当時の総理に向かってもそれを言いおおせた人物としても、土光氏はある意味崇拝されている。それだけのパワーがなければ、あの厳しい時代の中での偉業は成し遂げられなかっただろう。
そんな彼のもう1つの呼び名として有名なのが、「メザシの土光さん」。この呼び名は行政改革に土光氏が携わっていた1982年、NHKが制作した「83歳の執念 行革の顔 土光敏夫」という番組をきっかけに急速に広まった。常日頃から質素倹約を重んじ、熱心な日蓮宗でも有名だった土光氏の生活の様子に、視聴者である国民が感激し、土光人気が一気に高まったのである。本人が好んでその生活習慣を選択していた分、信用も高かった。これには、母である登美の教え「個人は質素に、社会は豊かに」の影響が大きい。一方で、仕事一辺倒で家庭では零点パパと酷評される面もあり、土光氏が去った後東芝の社長となった岩田氏は、「娘がいたってあんな男には嫁にやるものか」と心密かに思ったそうである。その土光氏を生涯支え続けた妻・直子の偉大さは、ある意味土光氏以上だろう。
どんなに偉大な人物も、1人で何かを成すことは出来ない。自分を必要とし、理解し支えてくれる人がいてくれて初めて、それは型を成す。土光氏の人生も、スケールの大小はあれど本質は私たちと何も変わらない。大切なのは、彼が人々への心配りをすることを常に忘れずにいたことだ。今を生きる私たちが学ぶべきはそこだろう。
お国のため、とは言わない。自分以外の誰かのためを思える心の尊さを、みんなで今一度振り返ってほしい。先人たちに見せても恥ずかしくない、「豊かな」国にするためにも。
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