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2019年6月11日ニュース

ファミリービジネス関連の書籍を紹介する「J.P.通信」でEps.2 石坂 典子著『五感経営』を投稿しました。

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2回目の投稿です。
今回は、埼玉にある”石坂産業株式会社”です。

産業廃棄物処理をメインとした会社でしたが、2代目の石坂典子さんの社長就任以降、業界でも初の試みを次々と実行に移し、会社は急成長。「奇跡の企業再生」とも呼ばれました。現在は、日本企業の中でもファミリービジネスの理想的なモデルケースとして注目される企業です。

大阪G20が開催され、世界規模で取り組むべき問題が浮き彫りにされる中、ゴミ問題もその最たるものです。この本がただのビジネス書にとどまることなく、環境問題に真摯に向き合う人々の心の声となって読者の皆様の心に届くことを願いつつ、ここに紹介させていただきます。

J.P.

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Eps.2  石坂 典子『五感経営』

読み終えた後、何だか背筋を正されたような気分だった。
著者の石坂典子さんの言葉は、どこか朝の朝礼で語られているような独特なものがある。そして、彼女の企業再生の経緯を知れば、それも合点がいくのだ。
彼女自身、元もとはネイルサロンの開業を夢見る2児の母親だった。そんな彼女が一転、社長という重役を願い出たきっかけは、父でもある先代・石坂好男さんの築いた石坂産業を襲った悲劇だった。地元農家の野菜から高濃度のダイオキシンが検出された事件を発端に、発生源である焼却炉を所有する産廃業者に対し、出ていけと撤退を求める声があがったのだ。
父親が社員たちとやってきた仕事の重要性を正しく理解されないまま、このまま潰れていくのが我慢ならなかったのだろう。
30にして、彼女の「ゴミ屋の娘」と揶揄されていた汚名返上の闘いの日々が始まった。
本作の中で、彼女は度々先代への尊敬と感謝を口にしている。
それもそのはず。当初彼女は実質的決定権を持たない、いわゆる「お試し社長」からのスタートだった。何をするにしても、先代からの許可が必要だった。
ネイルサロン開業の資金繰りのためと割り切り石坂産業に入社した経緯があったながらも、彼女はその効率性を重視する勤務態度が正当に評価され、当時営業部隊の統括まで任されていた。そんな彼女にとって、最初は思うようにいかないところもあったと述べている。が、そこにはもちろん先代の深い考えがあった。
力仕事や重機操作などの仕事もある産廃処理の現場は、荒っぽい男だらけ。彼女の言葉は、なかなか社員には届かなかった。社運を賭けた国際規格取得に向けて動き出そうとした時も、ついていけないと社員の4割が辞めてしまうという厳しい現実を突きつけられた。
しかし、生来の負けず嫌いだった彼女は自身の方針を曲げなかった。必要とあらば、同業者にも笑われるような、巨額の設備投資をした。それも、父でもある石坂好男さんという何にも勝る相談役がいたからではないだろうか。
自身の苦い経験から、彼女は女性社長としての自身の立ち居振る舞いの在り方を学んでいった。常に2代目として、先代が特別な想いを込めた会社を、先代の意思に沿った永続企業として発展させることを意識してきた。その結果が、地元民の信頼回復と企業としての地位向上に繋がった。そして、バトンを先代から受け取り、さらなる目標を目指して邁進している。
近年、自分の仕事に誇りを持って働ける職場環境の整備が、企業の永続化における急務になっている。そのために解決すべき問題は、企業ごとに多種多様だろう。
しかしこの石坂産業のように、そこに真摯に向き合い、それが等しく人々のプラスになると信じて進めばいい。著者の石坂典子さんの言葉を借りるなら、「同じ苦労を繰り返さない」ためにも、子を持つ1人の親であり、娘であり、社員たちの幸福のためにあるべき企業経営を考える責任者としての彼女の猛省録から学ぶものは多い。
あなたも五感を研ぎ澄まして、その言葉の一語一語に「謙虚に」耳を傾けてみてはどうだろう。

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