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2019年9月23日ニュース

ファミリービジネス関連の書籍を紹介する「J.P.通信」でEps.8 ホルスト・シュルツディーン・メリル著/御立 英史訳『伝説の創業者が明かす リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法』を投稿しました。

(FBページはこちら⇒ https://www.facebook.com/JP通信-by-FEMO-782507828813683/?modal=admin_todo_tour

皆様、3連休いかがお過ごしでしょう。
台風の影響は心配ですが、皆様にとって有意義な3日間になることを願っております。
今回は、誰かの幸福を願い日々を生きる方々の背中を押してくれるような書物を紹介させていただきます。テーマは皆様ご存知、「リッツ・カールトン」です。
アメリカ・アトランタを本拠地とする世界最高峰のホテルリゾートグループ。その高いホスピタリティと顧客に感動を与え続けるサービス精神を根幹にした徹底した従業員指導が功を奏し、数々の業界からの賞を受賞。今なお世界最高のホテルとして、その不動ともいえる地位を維持しています。
その共同創業者であり、リッツ・カールトンのサービス精神の行動規範(クレド)の構築に尽力したホルスト・シュルツさんによるビジネス書です。現在はカペラ・ホテルグループを設立し、更なる高みを目指す彼の成功の秘訣が本書で明かされます。
まるでその場にいるかのような臨場感のある彼らの(もしくは翻訳者の)巧みな筆致も必見です。
是非、ご一読下さい。
J.P.
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『伝説の創業者が明かす リッツ・カールトン 最高の組織をゼロからつくる方法』

ホルスト・シュルツ
ディーン・メリル  著       御立英史 訳

「私たちは、紳士淑女をサービスする、紳士淑女である。」
著者であるシュルツ氏が、今日までずっと掲げてきたスローガンだ。道標ともいえる。
働く人たち全員にこの誇りを持ってほしいという切なる想いが、著者の成功の秘訣だったと言えるかもしれない。
本書の中でも述べているが職業的に下に見られる偏見や、離職率の高さなど、ホテル業界が抱える問題は多い。当時11歳でホテルで働きたいといったシュルツ氏も、当初は大反対されたそうだ。もともとドイツの生まれだった著者の実家は、ご多分に漏れず職業に対する固定観念が強く、著者のホテル業界で働きたいという考えに理解を示してくれたのは、14歳になった3年後のことだった。
当初皿洗いでなく、「灰皿洗い」というポジションで働き始めたという書き出しにも、読者をより楽しませたいという著者のこだわりを感じさせる。そしてその後の人生に大きな影響を及ぼしたのが、当時メートル・ドテルであるツァイトラー氏との出会いだ。
彼の洗練された身のこなしはもとより、彼にテーブルに立ち寄ってもらいたいと感じているような顧客の様子や,彼と話しているとどこか誇らしげなようにも見える顧客たちの顔は、当時のシュルツ氏に強烈な印象を残した。著者の言葉を借りるなら、「上と下がほとんどひっくり返っている」状態だったのだ。
このエピソードだけでも、著者が求めた最高のホテルの形のヒントがこのツァイトラー氏にあったことは間違いない。現に彼を作文のテーマにして、著者はホテルスクールにおいて生涯で唯一のA評価を獲得した。
その後、ホテルで働く従業員のマネージャーから皿洗いに至るまで、全ての従業員たちに自身の構築したクレドを叩き込んだ。彼らと共に崇高な理想を追い求める日々が始まったのだ。
そして立ちふさがる数々の苦難を乗り越え現在の地位を築いたわけだが、そのエピソードの1つ1つが実に丁寧に描かれている。この著書自体、まさに「リッツ・カールトン」のクオリティーなのだ。シュルツ氏が、これまで関わってきた人々それぞれにどのように真摯に向き合おうと努力し、両者にとってよい方向へと解決していったのかは、著者たちが見事に作中で描ききった臨場感と共に読み解いていただきたいと思う。
シュルツ氏の仕事におけるストイックな部分は、作中の多くの引用と自身の反省のエピソードに窺い知ることが出来る。謙虚な姿勢を維持することの重要性を認め、非常に多くから今なお学び続けようとする姿勢は、リーダーになる者が学ぶべきものだろう。どんなときも、サボらないのだ。でなければ、今日における彼の夢の実現には至らなかった。
作中シュルツ氏は、以下のアリストテレスの引用を用いている。
「ある人にとって幸福とは、お金で買える単なる喜び(プレジャー)のことであり、思慮深い人にとっては、名誉、立派な仕事を成し遂げたという手応え、それに対する他者からの賞賛である。」
そして、この思慮深い人の選択する幸福こそ、すべての仕事の核心にある真実であると。
誰かの幸福や満足を、自分の人生そして行動の目的とする。それはまさに、現代に生きる全てのビジネスマン・ビジネスウーマンにあてはまるクレドである。私たち1人1人が自身の幸せのために、誰かのための紳士淑女でありたいと努めるべきではないだろうか。

 

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